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浦崎谺叉琉
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萌え殺し絵描き。
攻め(責め?)句が上手い。
モノマネちょっとできる。(声系)

だそうです。

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ショートストーリーのつもりでほのぼの的なBLカップリングやギャグや時には真面目なSSを書き込んだりする気まぐれスペース。一時的メモっぽい。
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2007/09/09  11:11:18
「やっと会えたな、元親」

「わりぃわりぃ。ちょい別件の仕事で来れなかったんだ」

「聞きたいことがある」

「おう、何だ?」

「そなたの話だ」








元親と最初に出会って一週間目の夜、バイトが非番のため、我の家まで来ていた。
「我は肝心のそなたから、まともに話を聞いていない。いくら我が前世の生まれ変わりでも、分からぬことが多すぎる」
とりあえず、ここ最近の己が体験で、これが単なる夢や幻でないということは感じた。
だからそなたを信じようと思う。

そういって、我は梅昆布茶をすすった。元親が手土産にくれた羊羹を頬張りつつ、
「あの夢はまるで我が、深く仕舞っていた思い出を、ゆっくり開いたように懐かしく切ない。アレは観たのではなく、思い出

しているものだ」
「どこまで、思い出しているモンなんだ?」
あまり気の乗らない顔で、元親は問うた。
「少女と、少年の我が山で出会い、親しくなるものがひとつ。もう一つは、今のそなたらしき男との……お、逢瀬」
「他には何か観た?」
「他はまだ知らぬ……。観ていない」
元親はティーパックの玄米茶をちびちびと口にしながら、なにやら思案している。
「……」
「教えてくれ…元親。そなたらはどこまで知っている?」
「……そうだなぁ」
元親は溜息を就いて天井を仰いだ。憂いの表情は何を意味しているものか、我にはわからぬ。それでも、元親が何か話し

てくれることを待った。

「元就は、俺が"何"なのかは、もう分かっているな」
「……少なくとも、人間ではないな」
「じゃぁ、ちょっくら本当の姿見せてやる」
そういって立ち上がると、部屋の中の空気が一瞬だけ極端に下がった感覚に襲われた。
ふと、元親を見ると、いつも付けているはずの眼帯を取り去っている。
そして、その額の上には二本の角が生えていて。
「俺の名は長曽我部元親。今じゃ、あの里で唯一匹生き残る……"鬼"だ」
「鬼……」
異質なオーラと、それが発するプレッシャー。人間だと畏敬か畏怖か。「自分たちでは敵わない」という実感を直接的に伝

えてくる覇気。まとった装束は現代のものではなく、赤紫色の力強い服で。
眼帯の下にあった左目は、潰れているわけではなく健在で、瞳はまるで血か炎の様に紅かった。
「そう、人を食らう鬼だよ。本来だったら食料になってしまうはずのお前と、禁忌とされる恋に落ちた―」
「……」

恋……か。
「すまぬ。我は本当は元親に、触れたいが……」
ああ、どうしよう。この姿の元親を。愛おしいと思う気持ちが溢れてくる。
今すぐにでも抱きしめて、その胸で思い切り涙を流したい。過去にあったであろう悲恋と、再会の喜びを。
だが、今の我にはその資格はない。きっと、全てを思い出すまで、我は元親に対しての気持ちを形にしてはならないのだ


「我は思い出し始めたばかり。もっと、ちゃんと思い出すから。今は何もできない事を許してくれ」
「……しゃーねーさ。一気に思い出したんなら頭パンクしちまうよ。ここまで思い出してくれただけでも、俺にとっちゃ御の字

だしな」
そう言って、ふわりと微風が吹いたかと思うと、元親はいつもの通り、人間となんら変わりない姿に戻っていた。
「正直、俺も元就を抱きしめたりその他いろいろしたいけどな。でも、その辺りを思い出していない元就に、それをやったら

マズイよなぁ」
「あ、当たり前だ。変な事は御免こうむる」


そんじゃ、俺もちょっと語るぜ?あんまり教えまくるのは思い出す邪魔になるかもしれねーから、かいつまんで言う。
元親は、湯飲みの中の茶を飲み干して
「最初の出会い……あれはそうだな。今みたいな石と鉄柱の入った建物なんか一切無い、自然が沢山残っている昔の時

代の事だ」
「うむ、夢の中では今では見られない多くの自然と、着物であったな」
「俺はガキの頃、女みたいなカッコしてよ。よく山ン中入ってきた元就が気になって、後をつけていたんだ」
「男には思えなかったから、あの時はびっくりした。だが、十数年経つと、とんでもなく男らしくなって納得したが」
夢の中の少女は、そのままこの男と同じだったのだ。
「ガキの間は、姿もほぼ人間で目も赤くなかったし、角も出てなかった。大人になってからこういうカッコになったんで、化け

る必要も出てきたんだが」

―だって私は、"鬼"だから……。

ああ、あの少女……もとい少年はそう言っておったな。
元親は我に興味は持っていたが、人間は恐れていた。
当時、我の住んでいた村は、鬼の住まう森が近くにある事で、その場所を警戒していた。村人が実際に出会ったことは無

けれども、伝説のような噂が、子供の寝物語で、噂で、と語られるうちに、信憑性を強めたのであろう。
「そなたは…人を食うのか?」
「食えるかな……食えねぇ」
不思議な答えが返ってきた。
「どういうことだ?我が人間だったからか?」
「昔は食った事もあったけど、なんか怖くなっちまったんだ」
人間を食ってると、同じ人間のお前まで食ってる気分になってよ。それで怖くて気持ち悪くなって、今は人間と食生活一緒

で。
「人間って、旨いものなのか?」
素朴な疑問で聞いたつもりだったが、元親は我の問いに対して極端に表情を曇らせた。
「うまいヤツからそうでないのまで、いろいろあるさ」
目を伏せて、それだけ言った。
その仕草が何を意味していたか、その時の我には分からなかった。






ああ、まだ序章ですw
ログに載せる時は、話数のまとまりがまた違うようになるかと思われます。
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