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プロフィール
HN:
浦崎谺叉琉
性別:
非公開
趣味:
惰眠
自己紹介:
伝聞によると
勘の鋭い電波発信源。
いいひと。
萌え殺し絵描き。
攻め(責め?)句が上手い。
モノマネちょっとできる。(声系)
だそうです。
[ここの動作環境]
OS:
Windows 2000
Windows XP
Browser:
InternetExplorer 6.0
Netscape:7.1
Firefox:1.5
Sleipnir:2.1
Opera:8.5
勘の鋭い電波発信源。
いいひと。
萌え殺し絵描き。
攻め(責め?)句が上手い。
モノマネちょっとできる。(声系)
だそうです。
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ショートストーリーのつもりでほのぼの的なBLカップリングやギャグや時には真面目なSSを書き込んだりする気まぐれスペース。一時的メモっぽい。
2024/10/21
12:35:33
2007/09/03
23:05:46
意識が消える直前、
懐かしくて堪らない記憶を思い出したような気がした。
ずくんと、胸の奥がきしむ。
シアワセと、ナゲキ。
血の匂いの中に、希望を乗せた―。
「…トチ…カは…泣き虫、だ…な……」
懐かしくて堪らない記憶を思い出したような気がした。
ずくんと、胸の奥がきしむ。
シアワセと、ナゲキ。
血の匂いの中に、希望を乗せた―。
「…トチ…カは…泣き虫、だ…な……」
「何故貴様が我の家を知っているのだ」
自分の部屋のベッドで目覚めた事に、悪い夢だと安堵しかけたが…。
「あ、起きたな」
すぐ横に先ほどの男が正座して我を眺めている事を確認して、我は再び絶望した。
「何度か尾行してるんで、お前の家は知ってたんだ」
「流石ストーカー」
「ストーカーじゃねぇよ。俺には元親って名前がある」
「もとちか…」
我がその名を口にした時、胸が淡く締め付けられるような感覚を覚えた。先ほどの様に強烈なものではないのだが……どうしたというのだろう。
「やっぱ、忘れちまったのか…」
「忘れたのではなく、我は貴様など知らぬ。ストーカーされるような何かが、我にはあるのか?」
「ある。どっちかといえば、”あった”が正しいけど」
むぅ。この元親という奴、変人にしてはどうも腑に落ちない。
結婚詐欺師とかは人の心理を巧みに自分のよい方向へ持っていく能力があるが、コイツはそれが下手過ぎる。ストーカーにしては何というか、妙な異常性の欠片が無い。そうなると、スケコマシ…ホモらしいから男専門の。
「我は、財も無いし、期待できるようなテクも持っておらん。男専門の風呂斡旋なのか」
自慢じゃないが身体は鍛えておらぬので貧相だ。ガチムチ?絶対に無理だ。むしろ貴様の方がガタイがいいではないか。女衒より自らがその身で稼げばきっと我より稼げるぞそうにちがいない!
「なんか勘違いしてね?元就。俺はぜげんじゃないぞ。テクって何?」
やはり単なるストーカーか。だからそりゃ違うって?
「貴様の頭がチョットおかしいということは確かだろう。自分の脳内の異次元に我を吸い込むな」
「まぁ、いいよ。きっと思い出すさ。おめーはあの元就とホントに一緒みたいだからよ!」
どうも話がかみ合わない。ナチュラルな嫌味もスルーして、にっこり我の肩に手をぽんと置く。
「そういうイヤミったらしい所も、あの元就そのままだな」
「訳が分からぬ。"あの元就"は誰だ?どこぞに我のそっくりさんがいるのか?」
「いんにゃ」
もういねぇよ。と元親は声の調子を落として言った。
「いないとは…」
「ま、再会したばっかで辛気臭い話も重たい話も無しにしようぜ!おめーは明日もバイトだろ?」
また帰り道でも会いに行くからよ。屈託の無い絵顔で、まるで親しい間柄の様に喋ってくる。なんなのだ、まったく。
「やっぱり変なストー」
「だーかーらー」
俺は昔々から元就と運命で繋がっていて、あの元就が生まれ変わって、今のお前があるんだ。
あん時のおめーは、身を挺して俺を守ってくれたから、俺はずっと前を待っていた。また再び出会う為に。
んで、こうしてちゃんと、逢えたんだよ。
「逢うことができたんだ」
悲しそうな目で、我を見据える。
ああそうか、そうだったのか…こやつはきっと昔恋人か大事な者を失った所為で、心と頭が可哀想な事になっておるのか。
だから我をターゲットにしたうえで、そのような妄想お花畑回路が発動したのだな。
「も、元就。なんだ神妙な顔をして」
「すまぬ、知らぬとはいえ、そなたに無碍な対応をし過ぎた」
病んだ相手に否定する事はタブーだ。ここは上手く話を合わせて、丁重にお引取り願おう。
「もう夜更けだし、我は明日もバイトだ。積もり積もった語らいはまたいつかにしよう」
「お、おう。俺のこと変な奴だと思うのも、無理ねぇけど」
案ずるな、貴様は変というよりかはぶっ壊れている人種だ。キ印さんだ。ということは死んでも口に出さない。
「んじゃ、俺は自分の寝床に帰るわ」
と言って、元親はベランダの戸を開け、格子に身を乗りだした。一瞬自殺すると思ったが、この部屋は一階なので心配ないだろう。
「家に帰るのか。どこに住んでるのだ?」
すぐ裏手の山に潜んでいるんだ、木の上とかな。山が自分家なんだよな…はは。
あっけらかんと言う。
「今は2月だぞ! こんな寒い中では凍死してしまう!」
「大丈夫だって。」
と言って、走り去ってしまった。元親の身なりは半そでTシャツとデニムパンツのみだったが、きっと奴はホームレスだろうから寒さにはめっぽう強いのだ。
帰り道ですっころんで頭ぶつけて、我の事など忘却してくれないだろうか…。
その晩、夢を見た。
我は幼い子供で、何処かの山奥に迷い込んでいる夢。
山の草花に触れて、木々で囀る小鳥の声を楽しんでいるうちに、帰り道がわからなくなってしまう。
(そういえば、この山には度々鬼が出て、迷い人をさらうという噂が…)
それまで遊山気分だった心はスゥと消えうせ、焦りと恐怖が其処に染み込み始める。
帰らなければ、帰らなければ…しかし元の路が見つからない。
心細さとうら恐ろしさに泣き出してしまいそうな時だった。
「どうして泣いているの?」
「?」
振り向くと、我より少し年下であろう、少女が立っていた。
「道に迷って…どこに進めばよいのか分からぬ」
誰かがいた事に安堵し、涙は引っ込んだ。年嵩である我が女々しくあるわけには行かぬという見栄もある。
「大丈夫、私が人里までの道に連れて行ってあげる」
少女が我の手を引っ張って、その道まで進んだ。
すいすいと、少女に誘われて、気づいた時には知っている山道まで来ていた。
「ありがとう。山に詳しいのか」
「うん。山はお家なの」
「よかったら我の家に来ぬか?礼をしたいのだ」
涙はもう消えて、笑顔に変わった。だが少女は微笑が翳り、首を横に振る。
「……いらない。他の人は、きっと私を嫌ってる」
「きらって…る?」
「だって私は……」
……だから。
そこで急に場面が変わり、あの夜空の桜吹雪。
「待たせたな。家の者が寝静まるまで時間が掛かって…」
桜の大木の根元に座っている男の元へ、我は駆け寄る。
「かまわねぇよ。丁度今時分が、逢瀬にピッタリじゃねぇか。元就」
男は我を優しく抱き寄せて微笑む。
「うむ、そなたの様に、心が安らぐぞ。元親…」
二人で、美しく舞い落ちる桜の雨を浴びながら。
ああ、そうだったな。
そなたは…。ソナタハ………。
深く深く、大切な記憶はまだ奥に沈んで。
きっと、息を止めて苦しい思いをせねば、手が届かぬものなのであろう。
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