花火 毛利元就の手記 Comment(0)

元親が花火を持ってきて一緒にやろうと言ってきたので、仕方なく付き合ってやった。
ふん、花火なんぞ子供の遊びではないか。
元親はニコニコしながら我に花火をどんどん勧め、一人で4～5本持ちながら途方に暮れた。



そうだ、体中に数百本の花火を付けて（纏って？）一気に着火したら、
日輪の如き神々しい後光を放つネオ・サンデー毛利として生まれ変われるかも知れぬ。
どうも最近、己が精神に燦々と輝くサンデースピリッツ（日輪魂）が足りない気がする。
ば～ん！と、歩けば花が勝手に咲き乱れていくような不思議な能力もあれば……おお、これは素晴ら……む？何の話だったか？ああ、花火か。

途中から元親はバテたらしく、花火を全部寄越して来た。
今ならサンデースピリッツの実験が出来るかも……と思ったが、元親がなにやら我を凝視していたので、やる気が失せた。あの保護者のような見つめ方、やめて欲しい。







線香花火の光に照らされた元親の顔を見た時は、まずかった。
声を上げそうなほどドキリとしてしまった。目が合わなくてよかった。
今にも口付けてしまいそうになっ触れたいなどと、ふしだらな事を考えてしまった。女々しい自分が腹立たしい。
元親は「今更俺らはそんな程度にビクつく関係じゃねーだろ」と、揶揄するが、我は…慣れたくなどない。
慣れたら、きっと元親への気持ちもなおざりにしてしまう……。