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浦崎谺叉琉
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伝聞によると
勘の鋭い電波発信源。
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萌え殺し絵描き。
攻め(責め?)句が上手い。
モノマネちょっとできる。(声系)

だそうです。

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ショートストーリーのつもりでほのぼの的なBLカップリングやギャグや時には真面目なSSを書き込んだりする気まぐれスペース。一時的メモっぽい。
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2007/09/22  09:46:44
遠い遠い昔のこと。
夢の中で、我は一番大事な哀しい思い出を観ていた。

目の前で、元親が泣いておる。
血まみれの両手で顔を覆い、さめざめと涙を流している。
涙が我の頬にぽたりぽたりと落ちて、我は何かを元親に語りかけた。














「元親…」
夜明け前の薄暗い部屋の中で、我は目覚めた。
傍らで心配そうに元親が我を見つめていた。
「元就…気分はどうだ?苦しくないか!?」
「平気だ。もう、なんともない」
そっか、よかった…よかった元就。
そう言って元親はまた涙ぐんだ。我の前で、よく泣いておったのだな…元親は。
「元親…我は思い出したぞ」
「ん?」
「我が死に絶えた時の事だ」

眉を顰めて、俯く元親。我は起き上がり、元親の傍に寄る。
「思い出したんだ…な」
「なぁ、元親。話してくれぬか…。我が見たのはひどく部分的なビジョンでしかない。それに―」
「…」
「元親がずっと我の前で悲しそうな顔をしなくてすむように、吐き出して欲しい」
元親の気持ちを…。



「そうだなぁ…そうだよな。俺はちゃんと話すことから逃げてたよな」
俺が鬼だった故にお前が死んで、その事をずっと悔いて。
「お前が断片的にでも知ったのなら、ありのままを話すべきだな」
元親はしばらく静かに言葉を考えて、語り始めた。



どこから話せばいいかな。うん、物心ついた時、俺は元就と既に友達になっていた。
俺はとにかく人を食う種類の鬼で、元就は普通の人間。
俺を育ててくれた親は多分、人と鬼のあいのこだと思う。人を襲わずに、猪とか山鳩、魚を食わせて俺を育ててくれた。俺が幼い時から既

に年取ってるジイサンだったけど、唯一の親だった。
元就とは…そうだな、ガキだった頃から山で何度も遊んで、成長してからは逢瀬に変わった。俺たちは永遠の恋人を誓ったんだ。いつの間

にか、俺たちは種族も男同士だって事も関係なく、な。
里の連中はうすうす元就が鬼と出会っているんじゃないかと、元就を村の中で疎外していた。元就の親は、元就を殴って家に閉じ込めた。

元就の家は有力な家系だったから、村から追い出すことは出来なかったらしい。
俺は元就を助け出すために、地下牢の鍵を細工して、夜中にこっそり元就が抜け出せる状況を作った。そうしてしばらくは逢って……けど

長く続かずに、後を付けてきた元就の家族に石を投げられた。
元就にぶつかりそうだったから必死でかばって、怪我して。お互い、慰めあった。

「うむ、そなたは血を流しておったな…」

俺は人を食わずに、山で獣を獲って我慢していた。鬼だけど、人を食ったりはしなかった。それまでずっと。
でも、俺の姿を見たそいつらは、よっぽど俺が怖く見えたんだろうな。数日後に元就が山の中に駆け込んできて、俺を焼き殺すために村衆

が動き出したことを告げたんだ。人を食ってなんかいない俺は鬼としての力は少しも無かった。一人前の鬼として覚醒すらしていなかった

からで、いわゆる元服の儀式の前だな。きっとそれは人を食うことだったと思う。だからずっとヘタレで。
仕方ないから俺は寝床の洞窟に隠れたよ。元就と一緒に潜んだ。だけど…。

数日経ってとうとう洞窟の傍まで来た村衆が、鍬に何かをくくりつけて洞窟から出るように叫んでいた。
「別の場所にいた鬼の一味は既に葬ってやったぞ」って。
俺は目を疑ったよ。
鍬からぶら下がっていたのは俺の親の首で、ズタズタにされていた。
今思うと、きっと爺さんは抵抗なんかしなかったんだろうと思う。ずっとずっと人間臭い暮らしを送っていたジジイだから、きっと力も無

くて―。
初めて、俺は奴等に対する激しい憎しみを、攻撃として現したい…食い殺してやりたいと心の底から思った。
あいつ等の顔は俺なんかよりずっと地獄の鬼に似ていたさ。その身に纏っていた憎悪は般若とか餓鬼そのものだ。
自分を守りたいがために、俺たちが慎んでいるのを忘れて殺そうとしたんだ!

「……人間が、恐怖から悪意へ暴走しておったのだな…」

俺の殺気を悟って、元就は俺を諫めた。何とか別の場所に逃げる方法考えて、逃げて人の居ない所で二人静かに暮らそう…そうしなければ

、今の元親じゃ殺されてしまう。
けど、袋小路の洞窟で、外には100人近い村人が待ち構えていた。大人しく石をぶつけられていた俺が、鬼として強くない事はバレていたん

だろうな。あいつらは爺さんの首を見せ付けるように燃やして俺を挑発した。
別の場所にあった首から下を棒ッきれで殴りつけて、ぐちゃぐちゃに砕いていた。
許せない、許せないあんな野郎ども!
俺は…憎しみを制御できなくなっていた。奥底で鬼の力を目覚めさせようと魂が憎悪を噴出させていた。俺を本来の姿に変えるための、抗

えない鬼の血が、人を襲いたい、食いたいという欲求を刺激した。
臓腑を食い千切って腹に収めたい、血を口からあふれんばかりに飲み干したい。飢えて餓えて飢えて餓えて、狂いそうになった。



そんな俺を不憫に思って、元就は…お前は俺を抱きしめて、俺の前で自分の手を切って、血を飲ませようとした。

『元親、これを飲め…』

やめろ元就、そんな事されたら俺は―。

『何も食していないから、もう我は逃げる体力が無いのだ…』

洞窟に閉じこもって3日飲まず食わずだった。その状態で外の村人の消えない狂気に四六時中曝され、お前が諦めてしまったのかもしれな

い。

『だからもう良い。だが、元親はまだ生きる望みがある』

やめてくれ、元就…血を見せるな、血…血。

『…元親はずっと我慢しておったのだな。人間の我が傍に居たから』

『我慢しなくて良い。元親なら…我は…よい。』

血は…生きる糧、本当の糧……。


そうだ、食えばいい。肉なぞ食ってしまえ。そうすればこの渇きは満たされる。
元就、もとなりの血、ち…。肉肉にく肉かて糧、糧だ、真なる我が糧が目の前に!
ああ、甘美なrる血。これ程旨い肉があろうか、人の肉は他の獣と違って精神力が含まれていてそれも我gが力になる。口の中に広がる血

t肉、はらわたを引きずり出sして、どこから喰らっtてやrろうか。やわらかいyやわrらかいうmまいuうまい甘ん美nなる肉の味jと

ても懐か―くてとてもいとおしい元就のにk――。


もとなり




もとなり…元就はどこに行ったんだ?


「……………ッ!!?」
正気に戻った時、血塗れで…今にも死に掛けた元就が俺に組み敷かれていた。

『ぉ…ち……ヵ……ッ、……あ…く…っク』

口の端から声と血泡が混ざって流れ出していた。喉はきっと、噛み砕かれていた。

「も、元就元就もとなりぃいいいいいい!、俺は俺はなんてことを!何とかしなきゃどうすればいいおれはおれはおれはすまないもとなり

すまないこんなひどいことをおれはぁあああ!!」

俺は狂わんばかりに泣き叫んだ。
とんでもない事を!元就に噛み付いて食い荒らすなんて、食い殺そうとしたなんて!!!
どうか悪い夢であってくれ、タチの悪い幻であってくれ。
散らかった元就の肉と内臓をかき集めて、元就を抱きしめて…。



指の欠けた手を伸ばして、弱々しく俺を撫でながら、元就が思いを俺に伝えた。
もう言葉には出来ないから、俺が元就の思念を拾って―。

その思念ですら、消え入りそうに弱いもので。


元親…あやまるな。我が…決めて、選んだ…のだから…。
だ、から…食うとなってしまった以上、大事に食せ…残さず我を―。
そうすれば、われは元親のなかでいきてゆけるであろう?われはきっとそなたよりはるかにはやく老いて死に…朽ちてゆく。だから、これ

がよい…これでよい。
もとちか、せっかくわれを丸ごとおおばんぶるまいしたのだ。のこさず、糧にしてくれ…。
もとちか…もとちか……は、なきむしだな…。

かすかに微笑んで、元就は動かなくなった。


「うっぅああぁぁァァアアアアアアア!!!!!」


俺は目を閉じて吼えた。泣きながら事切れた元就の体を貪った。
思い切り噛み付き、肉を引き千切った。
まるでわが身を剥ぎ取っているかの苦痛と、この上ない美味な肉の味に涙はとめどなく溢れた。
哀しさに塗れた地獄のひとときだった。
元就の体は時間をかけて、余す事無く腹に収めた。


哀しみと憎しみで満ち満ちていた俺は、元就を食い尽くして次に片っ端から村人を食い殺した。
静かに生きようとしていた俺たちをこんな仕打ちで破滅に追いやった村の人間。
そのときの奴等はてんで弱くて、下世話な肉の味がした。
あまりにも愚かしく、恐怖にゆがんだ顔が醜くて滑稽で。俺は笑いながら村の人間を殺しつくした。

血はもう甘美ではなかった。
肉は吐き気を催す醜悪な味だった。
悲しくて哀しくて、何もかも死に絶え、俺は独りになった。


それからは、俺は人が“食えない”鬼となった。
人が食えなくなってからは、ずっと、ずっと育ってきた頃のようにまた山で獣を獲って暮らした。
たった一人で。ずっと心の中にいる元就を想いながら。

人がいっぱい増えても、戦争が起きて世界がどんどん変わっても、俺はずっと自分の鬼を抑えて生きてきた。元就を殺してしまった償いと

して。
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